児童相談所の子ども一時保護、「司法審査」今春試行…「虐待」巡る保護者とのトラブル回避狙い

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 こども家庭庁は、虐待が疑われる子どもを児童相談所(児相)が保護者から引き離す一時保護の際、裁判所が妥当性を判断する司法審査について、今春にも試行運用を始める方針を固めた。司法審査には裁判所が「お墨付き」を与えることで、児相と保護者のトラブルを回避する狙いがある。

こども家庭庁
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 2025年6月に始まる司法審査は、保護者が一時保護に反対するなどした場合、児相が裁判所に「一時保護状」を請求し、保護すべきかを裁判所が審査する仕組み。請求は事前か保護開始から7日以内に行い、裁判所が認めるか却下するかを決める。

 現行制度でも、児相の判断で一時保護はできる。ただ、保護者が反対した場合はトラブルになりやすく、児相が保護をためらう場合がある。保護者の反発で保護が解除された後、虐待死につながったケースも出た。

 そうした事態を防ぎ、中立的な立場の裁判所が関与することで透明性を高めようと、司法審査を盛り込んだ改正児童福祉法が22年に成立した。改正法では裁判所が迅速に判断できるよう、保護の要件を明確化することが定められた。

 政府は、〈1〉児童虐待を受ける恐れがある〈2〉児童が保護を求めている〈3〉児童の生命または心身に重大な危害が生じる恐れがある――など七つの要件案をまとめた。こども家庭庁はこれに基づき、試行運用を始める。

 具体的には都道府県など約10自治体の児相で、子どもや保護者への意向確認、一時保護状に必要な請求書の作成など、裁判所に請求する前までの手続きを実践する。結果を踏まえ、マニュアルや要件を確定する。

 21年度の虐待による一時保護件数は2万7310件に上る。司法審査導入で児相の負担が増えるため、政府は26年度までに児童福祉司などを22年度比で約2000人増員する計画だ。

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