サイエンス

「人は自分と正反対の人を好きになる」というのは本当か?


より良いカップルやパートナーになるための定説として「自分と正反対の人物や自分と違うものを持つ人物とは引かれあう」といったことが古くから言われています。しかし、コロラド大学の心理学者ターニャ・ホロウィッツ氏らの研究チームが、実際には「自分に似た人物に惹かれることが多い」と報告しています。

Evidence of correlations between human partners based on systematic reviews and meta-analyses of 22 traits and UK Biobank analysis of 133 traits | Nature Human Behaviour
https://www.nature.com/articles/s41562-023-01672-z


News flash: Opposites don't actually attract | CU Boulder Today | University of Colorado Boulder
https://www.colorado.edu/today/2023/08/31/news-flash-opposites-dont-actually-attract


Opposites attract? Usually not, according to a new study • Earth.com
https://www.earth.com/news/opposites-attract-usually-not-according-to-a-new-study/

研究チームは1903年から現代に行われた、数百万組のカップルに関する199件の研究で調査された22の特性を分析しました。また同時にUKバイオバンクのデータセットを利用して約8万組の異性カップルで観察された133の特性の分析を行いました。

分析の結果、カップル間での政治的および宗教的態度や教育レベル、IQ、喫煙や飲酒の頻度などの測定値は強い相関関係を示しました。また、身長や体重、持病、性格などの特性でも、わずかながら正の相関が示されました。つまり、「IQ高めの人は同じくIQ高めの人と交際しがち」「喫煙頻度の高い人は同じく喫煙頻度の高い人と交際しがち」といった傾向が判明したというわけです。


一方でカップル間の外向性や内向性などの特性については相関関係が認められませんでした。ホロウィッツ氏は「外向的な人は内向的な人物が好きだとか、外向的な人は他の外向的な人が好きだとか、さまざまな説がありますが、実際は結ばれる人物の外向性や内向性は関係がありません」と述べています。

研究チームによる分析の結果、反対の者同士が惹かれあうという説について「説得力のある証拠はない」と示唆されました。ただし、朝型や夜型、不安の感じ方、聴覚障害の有無などの特性では逆に負の相関関係が認められました。

研究チームのマット・ケラー氏は「従来の遺伝学の多くのモデルは、人間の交配がランダムであることを想定していますが、今回の研究によってこの想定がおそらく誤りであることが示唆されました」と述べています。今回の研究によって、同様の特性を持つ個人同士がパートナーになる傾向がある「同類交配」の概念に大きな影響を与える可能性が指摘されています。


しかし、研究チームは「今回発見された相関関係はかなり控えめであり、この議題を過度に促進させるために誇張したり誤用したりしてはいけません」と警告しています。一方で「この研究がさらなる研究のきっかけになることを望んでいます」と述べ、ホロウィッツ氏は「私たちは、第三者がこのデータを利用して独自の分析を行い、人々がどのようにしてカップルやパートナーとして結び付くのかについて解き明かしてくれることを願っています」と語っています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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