9割が「職場にストレス」 心を支援するスクールカウンセラーに何が

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学校(写真はイメージ)=ゲッティ
学校(写真はイメージ)=ゲッティ

 9割のスクールカウンセラーが「職場にストレス」――。東京都内の公立学校で働くスクールカウンセラーを対象に労働組合が実施した2021年のアンケート調査で、回答者の87%が「職場にストレスの要因がある」としていた。スクールカウンセラーは子供や保護者の抱える心の問題の支援を担う専門性の高い職業。ストレスの背景には、減らないサービス残業や雇用の不安定さがあるとみられ、関係者からは改善を求める声が上がっている。

 スクールカウンセラーの配置は、1995年度から始まった。臨床心理士、公認心理師などの資格が必要とされる。非常勤で、1人のスクールカウンセラーが1〜3校を担当することが一般的だ。現在は都内の公立小、中、高校計2143校に配置されている。

 調査を実施したのは、公務で働く人たちの労働組合「東京公務公共一般労働組合」の分会で、都内のスクールカウンセラーが集う「心理職ユニオン」。21年9~10月に都内の公立学校で働くスクールカウンセラー(調査時点で1514人)全員を対象に調査を実施し、702人の回答を得た。回収率は46%だった。

 調査報告書によると、「職場においてストレスとなる要因があるか」との問いに87%が「ある」、12%は「ない」と回答した。選択式(複数回答可)で要因を尋ねると、時間外の無償労働(サービス残業)66%▽雇用の不安定さ61%▽社会保障がないこと56%▽教職員・管理職との関係50%――などが挙がった。

 ストレス要因で最も多かった時間外労働については、全体の87%が「している」と回答した。このうち1回の勤務で残業している時間は「1時間以上2時間未満」が52%だったが、3%は「3時間以上」とした。

 ストレス要因の2番目に挙がった「雇用の不安定さ」については、スクールカウンセラーらの雇用を1年ごとに更新する「会計年度任用職員制度」が影響しているとみられる。何年も続けている人が次年度の雇用を望んでも、実際に雇われるかどうかは年度末にならないと知ることができない運用となっている。意に反して雇用契約が更新されなくなる可能性について「不安に感じる」(69%)、「やや不安に感じる」(22%)の合計が全体の9割を超えた。

 また、仕事を家に持ち帰っている人は全体の半数に上った。家に持ち帰る仕事の多くは、相談室便りの作成や研修会の資料作成などだという。勤務時間中に(法定の)休憩時間を「取れていない」とした人は、「取れている」と回答した人の約3倍に上った。

 一方で仕事のやりがいについて尋ねたところ、「とても感じる」が52%、「やや感じる」が40%。全体の9割がやりがいを感じている計算だ。

   *   *   *

 都教育委員会が任用するスクールカウンセラーは専門性の高さを踏まえて時給5500円となっている。勤務は1校当たり年間38日、1日当たりの勤務時間は7時間45分とされ、年間の賃金は1校につき…

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