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週1回のグリコアルブミン測定×アプリが2型糖尿病を持つ方の血糖管理を改善
~ 低/非侵襲・低コスト・分かりやすい次世代自己血糖モニタリング法の確立へ ~

医療法人社団 陣内会 陣内病院の陣内秀昭院長、東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科の相原允一助教、熊本大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科(大学院生命科学研究部)の窪田直人教授、東京大学発医工連携スタートアップである株式会社Provigateの関水康伸代表取締役CEOらによる研究グループは、週に1回の在宅グリコアルブミン(GA)検査と行動変容アプリを併用することで、2型糖尿病のある方の血糖値や体重などが有意に改善することを見出しました。

グリコアルブミン(GA)値は過去1週間程度の平均血糖値の変化に応じて鋭敏に変化すると期待されます。そのため、週1回GA値を測定すれば、直近1週間程度の食事、運動、服薬など血糖値に影響する生活習慣の変化を、GA値の変化として簡単に数値化できると考えられます。しかし、在宅でGA値を測定し行動変容に活かす研究はこれまでに報告がありませんでした。

今回の成果を受けて、研究チームはより手軽で侵襲性の低い在宅迅速検査(POCT)法や唾液による郵送検査法の研究開発、及び専用の行動変容アプリの改良も進めています。これらは、将来的により良い糖尿病治療の実現につながることが期待されます。

本研究成果は、5月16日(中央ヨーロッパ時間)にDiabetes Therapy誌のオンライン版で掲載されました。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2024/5/17)

飯野正光名誉教授が瑞宝中綬章を受章

このたび、飯野正光名誉教授が本年春の叙勲にて瑞宝中綬章を受章されました。

飯野先生は、長年にわたって薬理学研究に努めてこられました。とりわけ、細胞内カルシウムシグナル機構において、独創的かつ先駆的な研究を行い、その基本機構の解明から病態の理解に至る大きな功績を挙げてこられました。また、学会、審議会において要職を歴任して学術界および医療の発展にも大きく寄与されました。

細胞内のカルシウムイオン濃度の変化は、筋収縮、受精、代謝、免疫、神経機能調節などの機能に重要であり、カルシウムシグナルと呼ばれます。細胞内小器官である小胞体からのカルシウム放出はその形成に重要な役割を果たしますが、飯野先生は「自己再生産的カルシウム放出」を提唱し、放出されたカルシウムがさらに活性を強めることを明らかにしました。この機構がカルシウム振動など複雑な動態を形成することを実証し、この研究は世界標準の生物学教科書にも記載されています。また、顕微鏡を使ったカルシウムシグナルの可視化法を次々に開発され、カルシウムシグナル研究に大きな影響を与えました。さらに脳におけるカルシウムシグナルの未知機能を探求し、シナプス機能の維持や脳傷害に伴う神経細胞死における新たな役割を発見されました。これらの知見は、新たな創薬ターゲットの発見に繋がると期待されています。これらの優れた業績に対し、1989年日本薬理学会学術奨励賞、2009年上原賞、2012年日本薬理学会江橋節郎賞、2017年春の紫綬褒章、2019年度東レ科学技術賞を受けられております。

先生は薬理学の教育にも長年従事し多数の学生を教育し、後進の育成に努められてきました。学会活動では、公益社団法人日本薬理学会の理事、年会長、理事長を歴任し、薬理学分野の発展に大きな貢献をされてきました。国際薬理学連合(IUPHAR)の次席副会長を務められ、学術的国際連携および日本の学術の国際的プレゼンスを高めることに尽くされました。さらに、日本医学会副会長及び日本医学会連合副会長を務められ、医学界全般に関連する課題に対応するとともに、厚生労働省及びこども家庭庁の審議会専門委員を務めて医療倫理に関する行政にも貢献されました。

このたびの受章を心よりお祝い申し上げますとともに、先生のご健勝と益々のご活躍をお祈りいたします。

(大学院医学系研究科・医学部 廣瀬謙造)

(2024/5/14)

日本人成人における食事場面の特性と食事の栄養学的質との関連

東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻社会予防疫学分野の篠崎奈々助教、村上健太郎教授、佐々木敏東京大学名誉教授らの研究グループは、30~76歳の日本人222人を対象に詳細な食事記録調査を行ない、食事の種類(朝食、昼食、夕食)、同席者の有無および食事場所が食事の栄養学的質と関連していることを明らかにしました。

※詳細はPDFこちら[PDF]をご覧下さい。

(2024/5/10)

女性医師による治療は女性患者で有益
~ 大規模医療データを用いた自然実験 ~

東京大学大学院医学系研究科の宮脇敦士特任講師、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介准教授らによる共同研究チームは、女性医師に治療された患者の方が、男性医師に治療された患者よりも死亡率や再入院率が低い傾向にある一方で、女性医師の治療によるメリットは、女性患者の方が男性患者よりも大きいことを明らかにしました。因果関係にせまることのできる「自然実験」を用いた、米国の高齢者77万人以上の入院データの分析の結果です。米国でも日本と同様に、女性医師はいまだ少数派で、女性患者が女性医師に診てもらう機会は不足しています。本研究は、このような医師の男女比率のアンバランスが女性患者の健康に不利に働いていることを示しており、医療現場の女性医師の割合を増やすことで患者の予後が改善する可能性を示唆しています。

※詳細はPDFこちら[PDF]をご覧下さい。

(2024/4/23)

加齢黄斑変性の前駆病変が発生するしくみを発見
~ 加齢黄斑変性予防に対する新たな治療確立に期待 ~

東京大学医学部附属病院眼科の寺尾亮助教と、ワシントン大学セントルイス医学部眼科のRajendra S. Apte教授(兼 ワシントン大学セントルイス マクドネル学術大使、慶應義塾大学グローバル教授)らによる研究グループは、AMDの前駆病変(前兆として現れる変化)のひとつである網膜下ドルーゼノイド沈着(Subretinal drusenoid deposit)を発症する遺伝子改変マウスを用いて、AMD前駆病変が生じるしくみを明らかにしました。

この研究によって、NAD+の枯渇がマクロファージの細胞老化を引き起こし、その結果として網膜下ドルーゼノイド沈着が発生することが判明しました。また、老化細胞除去治療やNAD+補填療法がAMD前駆病変の出現を抑えることを明らかにしました。AMD前駆病変が発生するしくみについて遺伝子改変マウスを用いて詳しく研究されたのは本研究が初めてです。この研究成果が今後AMD前駆病変に対する治療として展開され、AMD予防のための治療法確立につながることが期待されます。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2024/4/18)

新規胃癌発生メカニズムを解明
~ そんなバナナ?な新治療の開発へ ~

東京大学医学部附属病院 消化器内科 新井絢也 医師、早河翼 講師、藤城光弘 教授と、国立研究開発法人産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門 多細胞システム制御研究グループ 舘野浩章 研究グループ長らによる研究グループは、ムチン(粘液)の一種であるMUC6の喪失が直接胃癌の発生を引き起こすことを明らかにしました。

本研究では独自に作成したMUC6ノックアウトマウス(以下MUC6KOマウス)を用いて、MUC6喪失により胃癌が自然に発生することを見出し、その発癌経路としてゴルジ体のストレスを介したGOLPH3遺伝子-MAPK経路の活性化を同定し、それに付随してマンノース異常糖鎖が高発現となることを世界で初めて示しました。

元来ムチン形質変化は発癌に付随して変化した結果と考えられてきましたが、今回MUC6喪失自体により直接胃癌が発生することを示したことは新しい胃癌発生メカニズムの発見として重要な意味があり、この研究成果は今後そのほかのムチン形質変化による多種多様な疾患への関与の解析につながることが期待されます。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2024/4/11)