同種の犯罪を繰り返す傾向があるとされる性犯罪者や薬物犯、窃盗犯らの再犯防止策として、法務省が満期出所した元受刑者らに国費で薬物治療や認知行動療法を受けさせる制度を整備する方針を固めたことが4日、分かった。来年度から実施の見通しで、特別な予算措置はせずに同省の予算でまかなう。犯罪傾向のある受刑者は刑務所内で再犯防止指導を受けるが、満期出所後は具体的な手当がされていなかった。同省は体制整備で再犯抑制をいっそう推進したい考えだ。
国費による治療や認知行動療法の対象は、強制わいせつや強制性交等(強姦)などの性犯罪のほか、覚せい剤取締法違反などの薬物犯罪、窃盗などで服役した元受刑者となる。
新制度の対象になる罪を犯した人は、出所後に同種犯罪で再び収容される比率が高い傾向がある。平成27年版犯罪白書によると、7~26年に強姦罪で再び刑務所に収容された受刑者のうち、過去に27・7%が強姦罪で、7・3%が強制わいせつ罪でそれぞれ収容されていた。
性犯罪傾向などのある受刑者は、刑務所で認知行動療法に基づく再犯防止指導の受講が義務づけられている。また、刑期を残して出所する仮出所者は保護観察所に通いながら指導を受け続ける。しかし、満期出所者は出所後に指導を受ける機会がなく、性欲抑制の治療を受けたいと考えても、保険適用外なので全額自己負担だった。