スタンフォード大学のチームが、スマホのアプリによって世界中から集められた歩数についてのデータを調査・分析した結果を『Nature』に発表しました。

111か国、717,527人、平均95日間、計6,800万日分という、史上最大規模のデータからわかったことは…。

1日の歩数、日本は世界4位

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Image credit: Tim Althoff

上記は、111か国のうち十分なデータが集まった46か国における1日の平均歩数です。日本は平均6,010歩で、第4位。歩くことに関しては世界一にちがいないと思っていたわたしには、ちょっと意外な結果でした。

トップ4か国(地域)は、以下のとおり。

  1. 香港 6,880歩
  2. 中国 6,189歩
  3. ウクライナ 6,107歩
  4. 日本 6,010歩

この4か国だけが6,000歩を超えています。5,000歩台にはヨーロッパ諸国やロシア、韓国などがランクイン。わたしが現在住んでいるアメリカは4,774歩で29位。

1日4,000歩を切った国も3か国ありました。第44位のマレーシアの3,963歩、45位サウジアラビアの3,807歩、最下位はインドネシアの3,513歩でした。

インドネシアの人は、香港の人のほぼ半分しか歩いていない計算になります。これが毎日、毎月、毎年積み重なっていくと、かなりの運動量の差になるはず。

活動量の格差が肥満率につながる

肥満大国のアメリカでとくに注目されたのは、チームが「Activity Inequality(活動量における不平等)」と呼ぶもの。つまり、活動量の多い人と少ない人との格差があるほど肥満率が高いことが判明しました。アメリカは46か国中42位。アメリカの後ろには、エジプト、カナダ、オーストラリア、サウジアラビアが続きます。

日本はこの点では世界6位。上位5か国は、香港、中国、スウェーデン、韓国、チェコ。歩行数の多い人と少ない人との差が小さい国では、肥満率も低いということになります。

治安や車社会が歩行数に関係する

さて、日本とアメリカの生活が人生ほぼ半々のわたし。両国の日常生活における歩行量の差は実感しているところです。アメリカ本土で最大の州なのに公共交通機関がほとんどなく、車に頼らざるをえないテキサス。だいたい、街そのものが歩行者向けにはできていません。危なくって歩けやしない。

あらゆるところにドライブスルーが設置されています。銀行、ドラッグストア、クリーニング屋、ファーストフード店、図書館の本返却ポスト、郵便局のポストなど。車から降りなくても用事がすませられるし、車の移動では座ってばかり。アメリカ人は、睡眠時間よりも座っている時間のほうが長いというデータがあるのは、そんな移動時間も含まれているからでしょう。

一方、日本では電車やバスを利用していても立つことも多く、駅や乗り換えの移動では歩きます。自転車に乗れば、座ってはいても運動はしています。

日常生活を営むなかで歩かざるをえない日本。でも、必要ならタクシーも使える。歩行者への配慮はいろいろなところに感じられるし、歩きたければ歩くこともできる東京のような都市はありがたいものです。そして、なんといっても街の治安がよいことも、歩くことができる大きな理由のひとつなんです。

わたしも自分が1日にどのくらい歩いているのか、がぜん興味が出てきました。万歩計、使ってみます。

Stanford News, Activity Inequality, USA Today, BBC, TED

Images:Rawpixel.com/Shutterstock, Images and data courtesy of Stanford University

カフェグローブより転載(2017.07.31公開記事)