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うつ病を「見える化」 光トポグラフィー検査進む

 日本人の10~15人に1人が生涯に一度は経験するとされる「うつ病」。ただ、治療法が異なる別の精神疾患と症状が似ていることもあり、正確な診断が難しい場合も。このため、判断材料の一つとして、脳の血流の変化を調べる「光トポグラフィー検査」を導入する医療機関が増えつつある。

 福岡市早良区の油山病院。「えんぴつ、えのぐ…」。患者はセンサーが付いた帽子型の機器をかぶり、音声が指示する一文字と頭文字が同じ単語を答える課題をこなす。その間、臨床検査技師が見つめるモニターには、前頭葉や側頭葉の脳血流量をリアルタイムで示す波形データが表示される。検査は15分ほど。

 光トポグラフィー検査は、頭皮に近赤外線を当てて大脳皮質の血流量の変化を調べる装置。波形の特徴を分析すると(1)うつ病(2)そう状態とうつ状態を繰り返す「双極性障害」(そううつ病)(3)幻覚や妄想などに悩まされる「統合失調症」-などを7~8割の確率で見分けられるという。副作用はほとんどない。

 うつ病の治療を続けているものの症状が改善しない患者が対象の補助検査法として2014年から保険適用となり、全国約70施設で導入済み。油山病院は4月、精神科病院としては福岡県で初の専門外来を開設した。抑うつ症状で同病院や他の医療機関で治療中の患者が対象で、費用は心理検査などを含めて5410円(保険適用で医療費の自己負担が3割の場合)。

 光トポ検査を巡っては、日本うつ病学会が昨年11月「検査の結果のみに基づいて診断することは、医療の原則に反する」と注意を呼び掛ける声明を発表した。三野原義光院長は「確定診断は従来通り医師が総合的に判断する。あくまでも補助的な検査だが、精神疾患を可視化できれば患者の安心や納得につながる」と話している。


=2017/05/22付 西日本新聞朝刊=

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