日本の自殺者「1万5000人以下」へ 政府、10年後に先進国並みを目標

先進7カ国の自殺率
先進7カ国の自殺率

 政府が自殺防止に向けて、10年後に自殺者を「1万4千〜1万5千人以下」とする目標の提示を検討していることが4日、分かった。人口比の自殺率では先進国並みの目標となるが、日本は自殺者が平成10年に3万人を超えて以降、突出して高い水準が続いているため、関係者は「かなり意欲的な数値」としている。月内に自殺対策に関する報告書案の骨子をまとめ、目標数値を盛り込んだ「自殺総合対策大綱」を今夏にも閣議決定する。

 関係者によると、検討中の目標は、先進国の数値を参考にする。世界保健機関(WHO)の2012年の調査によると、日本(18・5)を除くと、先進国や高所得国を合わせた自殺死亡率(人口10万人比)の年平均は11〜12。日本の人口に換算すると、1万4千〜1万5千人になるという。

 日本の自殺者数は、平成に入ってから15年の3万4427人をピークに減少傾向にあるものの、28年は2万1764人(速報値)と多い。

 19年に作成された自殺総合対策大綱では、「28年までに、自殺率を17年と比べて、20%減少させる」を目標に記載。自殺者数に換算すると、約2万4400人以下で、27年に達成した。今年は大綱を見直す時期になっており、新しい数値目標が議論されている。

 自殺防止の取り組みとしては、18年に医療機関の整備や調査研究の実施を求める自殺対策基本法が成立し、相談しやすい窓口を増やしたことで、一定の効果を上げた。ただ、長時間労働などを原因として、20、30代の若い労働者の自殺が自殺率を引き上げている。子供のいじめ自殺も後を絶たず、対策の強化が検討されている。

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