Inc.:いわゆる"頭が良くなるサプリ"や"脳トレ"のようなゲームのことは知っている人も多いでしょう。また、パソコンやスマホのおかげでいかにクリエイティブになれるか、という記事やCMも見たことがあるはずです。

しかし、脳を活性化する一番パワフルなツールは、サプリでもパソコンでもないことがわかりました。それは、机の引き出しの中に入っていて、一生使えそうなもの、「えんぴつ」です。

最新の科学によると、えんぴつやペンを使うことは、サプリやパソコンには敵わないほど、脳の運動やトレーニングになるのだそうです。

1. 覚えやすい

UCLAの心理学者Pam A. MuellerとDaniel M. Oppenheimerが、大学生を対象に調べたところ、パソコンよりも手書きでノートを取った方が、授業でもテストでもより覚えが良いことがわかりました。

覚えが良くなったのは、パソコンの方が注意散漫になる要素が多いというだけでなく、手書きは理解したことや記憶をエンコード(記号化)しやすいように反映させたり、操作したりする過程が含まれるからです。(出典:ニューヨーク・タイムズ

私の場合、ずいぶん前に会議のメモをパソコンで取るのはやめ、手書きにしました。人が話すスピードよりも速くタイピングすることができるのですが、手書きで要約した時の方が、会話の内容をより覚えています。

2. クリエイティブになる

雑誌「Futurity」に載っていたワシントン大学の研究によると、手書きで作文を書く子供の方が、キーボードを使う子供よりも、より良く速く書くことがわかりました。

このようなパフォーマンスの上達は大人になっても明らかに続いています。この研究の執筆者で教授の Virginia Berningerは、「大人の脳の画像検査では、文字の形成、選択、認識で優位であることが明らかでした」と説明しています。

たとえば、私がこれまであった一番多作な作家であるGregory P. Norrisは、原稿はすべて手書きです。彼が、1回の週末のライターリトリートの間に、約3万5000ワードの小説を書くのを個人的に見ました。

余談ですが、私は今はキーボードを使って書いていますが、最初の数冊はえんぴつで手書きで原稿を書きました。先のような証明を知ると、昔のやり方に戻った方がいいのかと悩みます。

3. より集中できる

キーボードを使う一番大きなデメリットは、それがパソコンにつながっていること、つまりインターネットにつながっていることです。その結果、常に仕事の邪魔になるものがあるということです。クリエイティブに考えなければならない場合は、特にこれが問題です。

ワシントン・ポスト紙に、カリフォルニア大学アーバイン校の研究が引用されていました。

典型的な会社員は、平均で3分5秒毎に、仕事が中断したり、切り替わったりしています。それまでやっていたものに戻るだけでも、23分15秒かかります。

現代の職場は(オープンオフィスの場合は特に)気が散るようなもので溢れています。メールチェックのプレッシャーが引っきりなしにあったり、ニュースを見たりすることで、家で仕事をしていても生産性はガタ落ちです。

キーボードとパソコン画面から離れ、えんぴつと紙を手に取って、精神的にも肉体的にも気が散るものが少ない場所に、今すぐ移動しましょう。

私も、企画やクリエイティブな仕事を、パソコンで何十回とやろうとしてきました。もう一度言いますが、私は入力するのはとても速いのですが、やはり紙とペンに戻ってしまいます。今、手書きをする時に使っているペンとノートは数百円以内の手頃なものです。賢くなるためにお金は全然かかりません。

A Scientifically Proven Brain-Boosting Tool That Costs a Few Pennies (for Real)|Inc.

Geoffrey James(訳:的野裕子)

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