フリースクールの位置づけめぐり策定過程で大幅修正 教育機会確保法案

 18日、衆院文部科学委員会で可決された教育機会確保法案は、策定過程で慎重な議論の末、大幅修正された。フリースクールの位置づけなど戦後の義務教育の在り方にも影響を及ぼす可能性があったためだ。

 法案を提出した超党派の議員連盟の動きが本格化したきっかけは、安倍晋三首相が平成26年9月、都内にあるフリースクールを視察し、不登校児童生徒への支援を検討する考えを表明したことだった。

 議連は昨年5月、不登校児童生徒がフリースクールや家庭など学校以外の場で学ぶことを義務教育の一つの形態として認める方針を決めた。義務教育の場を学校に限定した戦後教育の転換になると注目されたが、与党内などから「不登校を助長する」といった慎重論が拡大。議連は法案提出をいったん見送り、不登校児童生徒への支援策を中心とした法案に大幅修正した。

 今回の法案が成立すれば不登校児童生徒の環境はどう変わるのか。付則で教育機会の確保に向け、「政府は速やかに必要な経済的支援の在り方を検討し措置をとる」と明記しており、「金銭的な支援が実現すればありがたい」と歓迎する保護者は少なくない。ただ、「具体的な支援策の議論はこれからで、現時点では白紙」(文部科学省関係者)という。

 フリースクールなどに通う児童生徒への支援では、昨年度の補正予算案で、低所得世帯の児童生徒に対し交通費や体験活動費を補助するモデル事業が盛り込まれ、実施されている。(花房壮)

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