お金で幸せを買うことは確かに可能ですが、だからといって、お金がすべてというわけではありません。最近の研究から、お金よりも時間を重んじる人々のほうが、幸福度が高い傾向にあることがわかりました。ライフハッカーでは以前、幸福と収入の関係を調査した2010年の研究をご紹介しました。その研究によると、収入が増えるにしたがって、当人の幸福度も高まっていきますが、その効果は年収7万5000ドルのラインで頭打ちになるそうです。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とペンシルベニア大学ウォートン・スクールの研究者たちからなるグループは、この問題をさらに研究し、この結果に「時間」がどう影響するのかを調べることにしました。さらにこの研究グループは、人々が「すでに手に入れているもの」だけではなく「欲しがっているもの」というレンズを通して、幸福を考察したいとも考えました。

4400名以上を対象に実験と調査が行われた結果、参加者の3分の2が、より多くの時間ではなく、より多くのお金を選ぶと回答していることがわかりました。研究グループは次のように報告しています。

研究を通してわれわれは、何千人ものアメリカ人に、より多くのお金か、より多くの時間のどちらを選ぶかを尋ねた。大多数が「より多くのお金」を選んだが、その一方で、より多くの時間を選んだ人たちのほうが、人生に対する満足度が高かった。こうした満足度の高さは、現時点で手に入れられる時間とお金という要素を調整しても成立した。こうした選択の背景にある理論的根拠と、こうした効果が持つ因果関係の方向性については、さらなる研究と実験が理解を深めてくれるだろう。

米紙『ワシントン・ポスト』が指摘しているように、相関関係と因果関係をめぐる議論はここにも当てはまるかもしれません。つまり、より多くの時間を欲しがる人たちは、おそらく、すでに十分なお金を持っているのではないかという疑問です。同紙記者のChristopher Ingraham氏は次のように説明しています。

幸福とは、「時間を欲しがること」の関数というより、「お金を持っていること」の関数なのではないだろうか?

私はこの疑問を、この研究の筆頭研究者の1人であるUCLAのHal Hershfield助教授に投げかけてみた...Hershfield助教授は、参加者たちがすでに保有するお金の額を考慮してもなお、同じ効果が見られたと指摘する。「われわれの研究は、すでに保有している財産を統計学的に調整することで、お金よりも時間を選ぶことの方が幸福に対してプラスの影響を、持っている財産以上に与えることを示しています」

Hershfield助教授が指摘するように、この疑問が正しいという可能性は完全には排除できませんが、研究グループはそのことも論文の中できちんと説明しています。いずれにせよ今回の研究は、お金が人を幸せにできることは確かですが、結局のところ、お金は道具にすぎないのだということを改めて思い出させてくれます。あなたの幸福に影響を与えるもっと大切なものは、ほかにもあるのです。

People Who Choose Time Over Money Are Happier | Social Psychological & Personality Science via Washington Post

Kristin Wong(原文/訳:阪本博希/ガリレオ)

Photo by Gordon.