2016.06.12 | ニュース

なぜ脳挫傷を他人に言いたくないのか?

10人のインタビュー調査

from Brain injury

なぜ脳挫傷を他人に言いたくないのか?の写真

外傷性脳挫傷は、事故などの外傷により脳にダメージを受ける病気のことです。今回の調査では、イギリスのバーミンガム大学の研究班が、患者から自分が脳挫傷であることを他人に言いたくない理由を調査しました。

◆外傷性脳挫傷を言いたくない理由とは?

外傷性脳挫傷は、交通事故など、強く頭をぶつけたり、頭に怪我をした時に脳までダメージを受ける病気です。脳がダメージを受けると、その部位によって様々な後遺症が残る可能性があります。

例えば、前頭葉(頭の前の方)にダメージを受けると、理性が利かなくなったり、後頭部にダメージを受けると目が見えなくなるといったことが考えられます。このような後遺症があると、そのような状態を周囲の人に言いたくなくなってしまう場合があります。

今回の研究では、外傷性脳挫傷を受けた10人を対象に、外傷性脳挫傷を近い家族や親友以外の他人に言いたくない理由についてインタビュー調査を行いました。

 

◆他人にどう思われているか不安だから

調査の結果、以下のことが報告されました。

開示しない理由は、他人からのネガティブな反応に対する心配、外傷に対して恥ずかしいという気持ち、苦痛を避けたい気持ち、適応したい気持ち、他人からの興味の欠如、そして開示行動に関連したストレスが利益を上回るという感覚が含まれた。

外傷性脳挫傷であることを他人に言いたくない理由として、他人からの反応に対する心配や、自分が苦痛を避けたいこと、言うことによるストレスがメリットに勝るといったことが挙げられました。

 

脳がダメージを受けると高次脳機能障害や運動麻痺が起こることもあります。しかし、そのような状況をあえて言う必要はないという考えがあるようです。より周囲の理解を得られるような社会になれば、言いやすさは変わるのかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Disclosure of a stigmatized identity: A qualitative study of the reasons why people choose to tell or not tell others about their traumatic brain injury.

Brain Inj. Epub 2015 Aug 21.

[PMID: 26305180]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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