cafeglobeより転載:「ストレスをなくす方法」や「幸せになる方法」。ウェブや雑誌でそんなタイトルの記事をよく目にします。ストレス社会と言われる現代、私たちの関心はいかにストレスをなくして健康に生きるかにフォーカスしがち。

でも、ストレスや落ち込みが、じつは健康に悪影響を及ぼしていないとしたら...。「ストレス=悪者」という通説をくつがえす、驚きの調査結果を、「The New York Times」の記事から紹介します。

「幸せ=長寿」とは言い切れない?

オックスフォード大学のリチャード・ピトー教授らは、約100万人もの中年女性のデータを長期間にわたって追い、女性たちの心理状態と病院での死因の関連について調査しました。

その結果、

幸せや、幸福と紐づけられるような健康状態は、寿命には何も影響を与えない。

The New York Times」より意訳引用

と結論づけたのです。

ストレスや落ち込みを感じて生きるよりも、幸福を感じて生きるほうが、ずっと健康的で長生きすると考えられがち。ストレスをなるべく抱えないようにして、前向きな心持ちでいることは、健康のために大切だと多くの人が口にしてきました。

ストレスで死亡率が高まるわけではない

しかし、今回の研究では、「ストレスを感じている」、もしくは、「幸せではない」と回答したある一定数の女性が、

その後10年、幸せだと答えた女性に比べて、死亡率が高いわけではない。

The New York Times」より意訳引用

ことがわかりました。

もちろん、この結果をそのまま真に受けるのはやや短絡的だとは思います。何をもって自分を幸せだとか、不幸せだとか定義するかは主観によるものですし、いかに長生きするかよりも、いかに幸せに生きるかのほうに、多くの人が重点を置いていると思うからです。

ときにはストレスを感じても大丈夫

ただ、この研究結果から学べる大切なことは、ストレスを感じたり、後ろ向きになることを、それほど深刻に捉えるのではなく、たまには落ち込んだって問題ないということではないでしょうか?

今日、ストレスは健康のあらゆる面において「弊害」とされ、常に前向きでいることが健全だと言わんばかりに、ポジティブシンキングが求められがちです。でも、ストレスを感じたり、落ち込んだりすることは、人間にとって自然な心理現象だと思います。

ストレスを感じる自分は弱い人間だとか、落ち込むことは健康を損なうなどという思い込みとは、これを機にさよならしましょう。「常に頑張らなくてもいいんだ」と自分に言い聞かせてみることも、たまには必要です。

The New York Times

(メーテル徹子)