何年もかけて皮肉を言うスキルに磨きをかけると、友だちや同僚を笑わせる以上の結果が得られるかもしれません。

最近「Quartz」に、ハーバード・ビジネス・スクールの新しい研究が載っており、皮肉っぽいことを口にすると(もしくは耳にすると)、創造的で抽象的な思考能力が伸びるかもしれないと書いてあります。研究では、300人の被験者を2つのグループに分け、正直な皮肉っぽい話と、そうではない話を聞かせました。その後、どちらのグループにも、思考の枠にとらわれないように考える能力をはかる質問に、いくつか答えてもらいました。すると、皮肉っぽい話を聞いた被験者の方が、もう一方のグループの被験者よりも成績が良かったのです。しかし、上司の前でうっかりと口を滑らせる前に、このことは知っておいてください。研究では、皮肉を言い合ったり、皮肉っぽい会話を思い出しただけでも、被験者は他の被験者とより衝突することもわかりました。

ランカスター大学の経営心理学者Michael Westは、皮肉は職場の雰囲気を悪くすると「Quartz」で語っています。「部署や社内の雰囲気を悪くせずに創造性を高めるには、もっと効果的な方法があります」

シカゴを拠点とする人材派遣会社「LaSalle Network」の社長であるTom Gimbel氏によると、上司からの皮肉めいた批判は社員の批判的思考能力を鍛えるそうです。「皮肉めいた発言は、その裏にあるものを読まなければならず、色々な意味の可能性を探らなければならないので、脳がどうしても分析的になります。したがって、創造力や問題解決能力が上がります」とフォーブズ誌のインタビュで語っていました

ハーバード・ビジネス・スクールの研究では、被験者に信頼されている人が皮肉を言った時は、被験者の創造的思考能力が伸び、衝突は増えなかったことがわかりました。皮肉を言わずにいられない人にとっての最善の策は、自分と同じくらい皮肉っぽい考え方をしている人との会話でだけ、辛口な発言をするようにした方がいいでしょう。それ以外の場ではうっかり口にしないことです。繊細な同僚を怒らせてしまうかもしれません。

ブログ「Ask a Manager」のAlison Green氏は、職場での皮肉に関する投稿で「時々皮肉を言うのはいいですが、あまりにも多すぎるとネガティブで、辛辣で、冷たい人だと思われる」と言っています。皮肉好きな人は、自分のことをクリエイティブな天才だとは、くれぐれも思わないようにしましょう。

No, Really: Sarcasm May Boost Your Creativity|Inc.

Anna Hensel(訳:的野裕子)

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