ついに科学的にも実証!
動物との触れ合いをとおして、患者の症状の軽減を図るアニマルセラピー。なかでも、セラピー犬を用いたドッグセラピーは非常に有名で、患者とセラピー犬のあいだで育まれた心温まる絆の話などを耳にする機会は増えてきました。でも、どれほどドッグセラピーが、実際に病気の治療に役立っているのかを実証するデータは、これまであまり出そろってこなかったようです。
そこで、American Humane Associationは、全米各地の5つの病院に協力をあおぎ、がんと診断された51名の子どもたちと31匹のセラピー犬の治療効果を追跡調査。がん患者の子どもと、そのケアを進める保護者、さらにはセラピー犬と訓練士たちがドッグセラピーからどのような影響を受けているのかを調べました。
このほど米国内で開催されたAmerican Academy of Pediatrics National Conference and Exhibitionにおいて、同調査の早期分析結果が紹介され、セラピー犬の訪問を毎週受けた子どもたちは、ドッグセラピーなしの子どもたちと比較して、血圧や心拍数データが良好であると判明。また、QOL(生活の質)の向上にも、ドッグセラピーが大いに貢献していることが明らかにされています。
さらには、がん患者の保護者もセラピー犬との触れ合いから益を受けていることが示されました。ドッグセラピーを受けなかった、がん患者の子どもを抱える親は、治療期間全体を通じて、激しいストレスや不安の高まりという症状が認められました。一方、セラピー犬によるセッションを毎週受けた親は、4か月のドッグセラピーセッションの終了時点で、わずかながら不安感の軽減という効果が認められ、がんと闘う子どものケアによるストレスが抑えられたと報告されていますよ。
同調査では、一連のセラピーセッションから、セラピー犬におよぶ影響も調査。がん患者の子どもや親との触れ合いの様子を、すべてビデオに録画してセッション効果の分析が進められるほか、セッションの前後でコルチゾールの値がどのように変化したかをチェックし、セラピー犬のストレスレベルの変化を調べています。今後の研究成果から、より高い効果のドッグセラピーを実現するうえでの貴重な発見がなされることに期待が集まっているそうですね。
アニマルセラピーが、もっと身近になり、さらに多くの病気の患者への治療に役立てられる環境が整うといいですよね。
Kiona Smith - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)