◆アルツハイマー型認知症の治療
リバスチグミンは、コリンエステラーゼ阻害薬という種類の薬で、脳の中で情報を伝える物質(神経伝達物質)を増やすことにより認知症の症状を抑えると考えられています。
ほかの主な治療薬にドネペジル(コリンエステラーゼ阻害薬)、ガランタミン(コリンエステラーゼ阻害薬)、メマンチン(NMDA受容体拮抗薬)があり、運動療法などが行われることもあります。
◆過去の研究を統合
研究班は、これまでの研究を検索し、アルツハイマー型認知症のある患者に対してリバスチグミンによる12週間以上の治療の効果を調べたものを集め、結果を統合しました。
◆認知症を改善
次の結果が得られました。
計13件の試験がこのレビューの採用基準を満たした。
リバスチグミンによる26週間の治療ののち、偽薬と比較して、アルツハイマー病評価尺度(ADAS-Cog)のスコア(平均差-1.79、95%信頼区間-2.21から-1.37、3,232人、6件の研究から)、ミニメンタルステート検査(MMSE)のスコア(平均差0.74、95%信頼区間0.52-0.97、3,205人、6件の研究)、日常生活動作(平均差0.20、95%信頼区間0.13-0.27、3,230人、6件の研究から)[...]について、認知機能に対するより良好な帰結との関連があった。
全体で、リバスチグミンを使用した参加者は、試験から離脱すること(オッズ比2.01、95%信頼区間1.71-2.37、3,569人、7件の研究から)、または試験期間に有害事象を経験すること(オッズ比2.16、95%信頼区間1.82-2.57、3,587人、7件の研究から)がおよそ2倍多かった。
基準に合った13件の研究から、リバスチグミンの治療を受けた人で、認知症の症状の改善が見られました。また、日常生活動作にも改善が見られました。
研究班は「リバスチグミン(経口で一日6mgから12mgまたは経皮的に一日9.5mg)は軽度から中等度のアルツハイマー病の人に対して有益であるようだ」と結論しています。
現在知られている薬でも、認知症を完全に治したり予防することはできず、治療の目的は症状を抑えることと考えられています。さらに効果的な治療法に期待がかかる中、現在可能な方法から治療を選ぶうえで、この結果はリバスチグミンの位置付けを考えるための参考になるかもしれません。
執筆者
Rivastigmine for Alzheimer's disease.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 22 [Epub ahead of print]
[PMID: 26393402]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。