児相、深刻な人員不足 虐待対策、警察・病院と連携道半ば 「通告の壁」も

 増加の一途をたどる児童虐待で、平成26年度の児童相談所(児相)の対応件数は年間8万件を突破した。早期把握が虐待対策の第一歩だが、虐待により命を失う児童は依然、後を絶たない。慢性的な児相の人員不足に加え、警察や学校、病院など関係機関の連携が道半ばとする指摘は多い。

 「職員は30人近くいるが、家庭訪問や緊急対応で日中、席にいる職員は少ない。職員の増加を通報数の増加が上回っている」

 対応件数が4554件と政令市で最多だった大阪市の児相「こども相談センター」職員はこう話す。センターでは3歳と1歳のきょうだいが餓死した事件を機に平成22年9月、虐待対応専門の担当課を設置。児童福祉司ら2人が宿直するなど24時間態勢で積極的な取り組みを行う。それでも「(厚生労働省が指針に定めた)48時間以内の安全確認に至らない場合もある」(担当者)。

 都道府県別で3番目に対応件数が多かった東京都の児童相談センター担当者は職員の質の維持を懸念。「現場では多くの知識やコミュニケーション能力が求められる。人手不足解消のためには経験のない職員も必要だが、研修や現場でじっくり育成する時間が足りない」と話した。厚労省によると、25年度に管内で虐待死が発生した児相で、担当職員の受け持つ事例は1人平均109件に上る。

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