この国では4万人の子どもが施設で暮らしている
親元で暮らせない子どもたちを家庭に代わって社会保障費で育てることを「社会的養護」と言いますが、日本にはいま、社会的養護下にある子どもたちが約47,000人にいます。親の貧困や虐待など理由はさまざまですが、ほとんどの子どもたちは親がいるにもかかわらず、親元で暮らすことができていない状況にあるのです。
そのような子どもたちが生活する場所として、前回は里親をはじめとした「家庭養護」の形態について説明しましたが、今回は「施設養護」について紹介します。施設には6つの形態があり、子どもの年齢、行われるべきケアや治療の度合いによって生活する場所が変わります。
これから説明する6つの形態を全て合わせて約40,000人の子どもたちが施設で生活していますが、その存在を知っている人はほんの一部だと思います。
その理由の一つは、施設で暮らす子どもたちは虐待や育児放棄等で十分な愛情を受けずに育っていることが多く、親は自分を愛していないから、自分は愛される価値がないから、自分は親と暮らせないと思い込み、子どもたち自身が自分を責めていることにあります。中高生になると、周りとは違う環境で暮らしていることをうまく自分の中で落とし込めず、隠しているケースもたくさんあるのです。
さらには信じられないことかもしれないですが、新しい施設をつくるという話になると、自身が暮らす学校区に施設がつくられることで、いわゆる「不良の子どもたち」が増えるのでは? という懸念から、反対されるケースも存在します。
そういった反対の声がある中で施設がつくられたりすると、施設の子どもがちょっとしたトラブルを起こした時には「やっぱり」という目で見られてしまうことから、施設職員も目立たないように息を潜めていることも少なくありません。
その結果、施設でボランティアや寄付などが必要であっても、地域に助けを求めることができない状況にあります。
虐待を受けて、親から孤立した子どもたちが、地域の住民からも冷ややかな目で見られ、社会からも孤立してしまっている現状があるのです。この背景には、施設やそこに入所する子どもたちの状況がきちんと理解されていないという問題があると思っています。
いったいどんな施設でどんな状況の子どもたちが生活をしているのか、わかりやすく解説していきましょう。