強姦事件再審

「何もかも失った」 釈放後も続く冤罪の苦悩、男性が「原因追究を」訴える

強姦事件の再審公判が即日結審し、会見する男性=19日午後、大阪市北区
強姦事件の再審公判が即日結審し、会見する男性=19日午後、大阪市北区

 「何もかも失った」。再審公判に出廷した70代の男性は閉廷後、大阪市内で初めて記者会見した。釈放後も続く冤罪(えんざい)の苦悩を訴え、「繰り返さないため警察、検察、裁判所は原因を追究してほしい」と強調した。

高齢なのに6年余…役員を務めていた会社に復職できず

 一貫して無罪を訴えたが聞き入れられなかった。取り調べを担当した女性検事は「許さない」と一蹴。ある裁判長は判決前にもかかわらず、「(刑務所に)行くとしたら長いんやで」と言ったことも明かした。

 逮捕から釈放まで6年余り。男性は服役中、親族らに「本当のことを(被害の虚偽証言をした)女性から聞き出してほしい」と手紙で何度も訴え、再審の道が開けた。ただ、女性については「怒りも恨みもない」と言葉少なに話した。

 役員を務めていた会社には、釈放後も復職できない状態が続く。地元の人の目が気になり、友人と酒も飲めない。検察側は19日、法廷で謝罪したが、「(捜査機関や裁判所が)一歩踏み込んでいれば冤罪はなかった。そのことを素直に認めてほしい」と訴えた。

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