【1月13日 AFP】第二言語の習得が脳に与える好影響については、これまでにもその可能性が多くの研究で明らかにされているが、第二言語の習得開始時期が小児期の中頃でも同様の効果が確認されたとする研究論文が、12日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 今回の発見は、より低年齢で第2言語を習得した人にこうした傾向が見られるとした従来の研究結果に沿うものとなっている。

 論文によると、10歳前後で英語の習得を始め、日常生活で英語を聞いたり使ったりするなど、日々英語に接する生活を送った人は、幼児期から英語しか使わず第2言語も学ばなかった人に比べて、脳の白質の構造に向上が見られたという。

 論文は、こうした「より高度な構造的完全性」が、言語習得や意味処理をつかさどる部分で見られたとしている。

 研究では、英語を第2言語として10歳頃から学び始め、英国に13か月以上住んだことのある30歳前後の被験者20人の脳のスキャン画像を調べ、その画像分析結果を英語しか使わない同年代25人のものと比較した。

 研究を率いた英ケント大学(University of Kent)のクリストス・プリアチカス(Christos Pliatsikas)氏(心理学)は、「2言語以上を日常的に使用することには、集中的な認知刺激としての働きがある。言語に関わる特定の脳構造の完全性を保つ効果があり、高齢期の劣化を防ぐ」と説明している。

 研究チームは、従来の研究が主に幼児期に2言語以上の習得を始めた人を対象にしていたことを指摘しつつ、こうした脳の好ましい変化が始まる正確な時期を特定するためにさらなる研究が必要としている。(c)AFP