「見えざる手」を見る脳――人間の約半数は完全な暗闇でも自分の動きを「見る」ことができる

私たちの脳は、運動といった視覚以外の感覚情報を使うことによって、暗闇のなかでも「見る」ことができるらしい。このほど米ロチェスター大学の研究者らが、Psychological Science誌の10月30日付オンライン版に発表した。彼らの実験は、目隠しによって被験者の視覚を完全に遮断した上で手のひらを顔の前で左右に動かしてもらい、その動きを正確に目で追うことができるかどうかを確かめるものだ。実験はディセプション方式※により、被験者129人に対して5回に分けて行われた。コンピューター制御によるアイ・トラッカーを用いて被験者の視線を追跡したところ、少なくとも 50%の人は、完全な暗闇の中で自分の手の動きを正確に目で追うことができることが分かった。「暗闇の中では、もちろん普通の意味での視覚的には何も見ることはできません」と、研究を主宰したタディン教授は言う。「しかし、手を動かすといった私たち自身の動作によって脳に伝達される感覚信号は、たとえ視界がゼロでも脳内に視覚的認識をもたらしうることをこの研究は示しています」。また、文字や数字に色を感じる「共感覚」を持つ人は、そうでない人と比較して、このような運動感覚に誘導された「視覚」を持つ傾向が高いことが分かった。2013.11.7  IRORIO

原著
Kinesthesis Can Make an Invisible Hand Visible Psychological Science


関連記事

広告募集!

PSYlaboではPCサイト、スマートフォンへの 広告掲載を承っています。 ぜひとも広告宣伝活動にご活用ください。 詳細はこちらからお問い合わせください。

情報提供

求人、ニュース、学会や研修会のお知らせ、多くの方に見てほしい情報、お問い合わせ等、こちらの情報提供からご連絡ください!

記事投稿の募集

PSYlaboでは、多くの方の意見を反映するため、投稿記事を募集しています。みなさまからのご応募をお待ちしております。詳しくは詳細はこちらからから。
ページ上部へ戻る