特に目を見張ったのは第6章の「患者作りと投薬を進める構造」。野田さんは〈臨床能力の乏しい精神科の教授たちは、製薬会社の広告塔として病気作りと投薬推奨に邁進(まいしん)している〉と書き、著名な精神科医の実名を挙げて、製薬会社から講演料などとして約2年間でどれだけお金を受け取っているかを具体的に記述しているのだった。これまでの医療取材で、医師が他の医師を名指しで公に批判するのを見聞きしたことがなかっただけに、この本には驚かされた。野田さんが11月上旬、住まいの京都から熊本市に来て講演するというので足を運んだ。執筆した動機について「本を書いても世の中が良くなることはないので書く気がしなくなっていたが、あまりにひどいので書いた」。そして「『うつ病は心の風邪』は全くうそ」「薬を一生飲みなさいとか平気で言う医者との付き合いを断たないといけない」などと訴えていた。2013.12.6 西日本新聞
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